世界で勝負する仕事術(竹内健)

世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)

世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)

同じ会社にずーっと勤務して、社内政治に明け暮れる技術開発者とは真逆のキャリアを生きている筆者の熱いエッセイ。本書は、キャリアや技術開発の考え方、姿勢について考えたり、他業界について知る良いきっかけになった。

内容をわたしなりに分類すると、大まかに以下のようなことが書いてあった。
1.キャリアデザイン
(0)ビジネスパーソンのキャリアデザイン
(1)技術開発者のキャリアデザイン
①技術スペシャリスト
スペシャリスト+マーケッター(MBA留学)
2.技術開発の世界
(1)電機業界
3.技術開発の場
(1)企業(東芝)(2)大学研究室

【わたしがおもしろいと思ったところ】
1(1)② 技術開発者がビジネスを大きく動かす事例 p.80
2(1)  アップルの深い技術理解         p.84
1(0)  キャリアの志向(上位職への階段を登るか、新しいことをゼロから立ち上げるか)p.98
1(0)  走りながら考える生き方 p.101
1(0)  プレゼンして回る、人のふんどしを借りる p.109
1(1)① 技術開発とは過酷な自己否定の繰り返しp.150
2    製品の公共性、社会へのインパクトによって異なる技術開発(飛行機と電機)p.152
2 技術の優劣よりも人間関係が大切になってしまう場面 p.191

【改めての気づき】
どんな開発をして、開発者として自分がどうなりたい(ありたい・成長したい)か。開発者としても開発思想が合う業界で開発できないと、ハッピーではないよな、と改めて気付いたり。
製品の特徴      例        開発全体             開発者
壊れても交換可能  電気製品・IT   開発サイクルが速い・スピード検討 忙しい
安全性が重要    飛行機・自動車  開発サイクルが遅い・精密検討   じっくり

【おまけ】
たとえば、子持ちの女性技術開発者は世界と勝負できるのか?
筆者の論旨とは外れるが、やはりわたしは女なので、その点気になってしまった。「一国一城の主」「不安定なポジションへの雇用は外国人、女性、年配のリタイア組(p.142)」という本書の記述は、典型的な日本男性の発想であるなーと感じた。「仕事で世界で勝負」できるのは、日本人の男か、男みたいな女なのか。筆者が日本型大企業出身の技術者だし、技術開発の世界は伝統的にこういう世界、と言われてしまえばそれまでだが仕方ないだろうし、筆者を責める気は全くない。現実的に、女性技術開発者のワークライフバランスの実現は、昔も今も難しいのだろう。筆者は大変な努力をしたが、女であればもっと努力しなければならないだろう。わたしも良いロールモデルを見つけて、キャリアに見通しや目標を持って元気出さないと!本書は、キャリアや技術開発の考え方、姿勢について考えたり、他業界について知る良いきっかけになった。