指輪を作る

わたしは普段アクセサリーはほとんどしない。でも一軒だけアクセサリーを買う店があり、わたしの持ってるアクセサリーはもらったもの以外ほとんどそこで買っていて、そこで閉店後に耳にピアスの穴まで開けてもらったこともある。もちろんその後、ピアスをしこたま買った。一緒にカフェでお茶したり、物々交換したり、仲良し。わたしが学生から会社員になって働く間、小さかった工房はより広々した場所に移転し、お弟子さんも増えた。その成長を見るのも楽しかった。わたしは新卒で大きな会社に入社したが、その報告をした時、「すぐ辞めそうだよね」と話していたら、案の定辞めた。いろいろあって、その職人さんに今回結婚指輪の製作をお願いしようとしている。

わたしのことをよく知っている、付き合いの長い、信頼できる人に、大事な物を作ってもらう仕事を発注でき、自分の人生に関わってもらえるのは、ありがたく幸せなことだ。

自分らのプライベートなことをたくさん話しあえて、信頼できる人に、仕事をお願いし、お金を巡らせることは気持ちがいい。お互いのことをよく知っている、顔の見える人に。その人に継続的に良い仕事をしてもらいたいし、その人の生活を支える顔の見えるひとりでありたいと思うのだ。
お金のことはよくわからないし、そもそもあまり持っていないが、そういう使い方と仕事の仕方の方が、わたしは生きている実感がするし、この世界を好きになれるのだ。こういう生態系を守り続けたい。信頼できるひと、良いひと、好きなひとと仕事したいし、好きな人からものは買いたいし、お金を払いたい。お金という顔のない名前のないものの使い方としてはちがうのかもしれないけど、お金だけじゃない、関係性や安心感を繋げるから、そういう風にしたいんだと思う。そんな信頼や安心感は、お金では買えないから。好きなひとと継続的に支え合って生きていたいのだ。わたしの人生でどれだけこういうサイクルを続けられるかが、お金に関わる人生の質を決めていると言っても過言ではないかもしれない。
逆に自分もそういう風に仕事をお願いしてもらえたら、それに越したことはない。

パートナーとは、ひ孫にも受け継いでもらえるようないい指輪作ってもらいたいね、職人の腕がなる仕事をしてもらいたいねと話している。

明日楽しみだな。