また春に

卒業式のあとわたしの部屋まで袴姿を見せにきてくれた、次の日だった。
卒業旅行の、ツーリングだった。晴れて、海も山も見えて、とても充実していたそうだ。白浜に、行きたかったんだろうな。

生きていたら、わたしはあの子の結婚式とか行っただろう。きれいだったろうな。
12の頃からクラスや大学の寮まで一緒だったから、むかついて言いたいこと言いまくってケンカもしてたけど、心が膨らむような良い話をたくさんできたなぁ。いつも。そんな話は、他の人とはできない。
一緒にいた、あの光や匂いや会話や空気感を、今でも、何度でも、細かく、再現できるのは、なんでだろう。法律の条文は、いくら勉強しても覚えられないのに。脳っておもしろいね。そんな話も一緒にしたよね。そんな記憶に、思い出すたび、わたしは今でも生かされている。

友達は、居なくなっても、ずっと友達なんだろうな。心の中で、ことあるごとに、対話している。そんな存在でずっといてくれることに、本当に感謝したい。本当に、出会えて良かった。

どこに今いるかわからない。でも、会いたくなったら、いつでも近くにいてくれるような気がする。もう、この世界では触れないけど、そのことに涙することもしばしばあるけど、彼女のことが好きだから、彼女は元気なわたしのことが好きだから、わたしは毎日生きるし、そんなわたしの友達に、またわたしは、何度も何度でも、出会うんだろう。

また、春が巡ってきた。